【TIFAセミナー】イラク、シリア避難民の現状  ~映像ジャーナリスト玉本英子さんが見てきた女性と子どもたち~

記事更新日:
2016/06/21

【報告】TIFAセミナー

イラク、シリア避難民の現状

~映像ジャーナリスト玉本英子さんが見てきた女性と子どもたち~

日時:2016年6月19日(土) 午後2時~4時

場所:とよなか男女共同参画推進センター「すてっぷ」 セミナー室1ABC

映像とお話:玉本英子さん(アジアプレスインターナショナル)

TIFAで何度か講演をお願いしている映像ジャーナリストの玉本英子さんが、シリア、イラクの現地取材から戻られたので、最新の映像を見せていただきながらお話しを聴きました。

概要をご報告します。TIFAseminar 20160619 (4)

 

海岸に流れ着いた子どもの遺体の衝撃的な写真が世界中にシリア難民問題を突きつけたが、どうして大挙して避難民となってヨーロッパに逃れようとしたのか、シリアのコバニでの状況から先ず話されました。

クルド人が多く住むコバニは、ISに侵攻されたがクルド人民組織が奪還。しかしISに包囲され、厳しい状態にあった。瓦礫と化した町には日常的にISのロケット弾攻撃があり、ISに対する米国など有志連合の空爆も続き、多くの人がトルコに逃げた。しかし仕事が無くたくさんの人がヨーロッパ、特にドイツへと向かった。

トルコに残った避難民ウバタくんの家に招待されたが、灯りが漏れると攻撃の対象になるので窓は全部ブロックで塞がれていた。子ども達はストレスが溜まるし、高等教育を受ける機会も無いため、シリアに戻りたいが戻れないと親は嘆く。結局、親戚のいる米国へ渡ったそうです。

次に、永年にわたり取材を続けているイラク、中でも北部のクルド系ヤズディ教徒が多く住むシンジャルの悲惨な状況を話されました。

ヤズディ教は独特の宗教で、2014年8月にISに侵攻され、イスラム教への改宗を拒んだ男達は虐殺、女性や子どもは奴隷としてIS支配地域に連れて行かれた。

19歳のイアンさんはお腹に2番目の子どもがいるにも拘わらず結婚させられた。助けもありうまく脱出、親戚と連絡できて今はドイツでメンタルケアを受け、ドイツ語学習に励んでいる。月1200ユーロの手当を貰っている。「何が悪いのか、誰に責任があるのか、こんな酷い目に合わせるなんて!」と怒りと悲しみを訴えられたそうです。

シンジャルは有志連合の空爆でISは撤退したがヤズディ教徒への支援は少なくなった。

ISが撤退しても、ファルージャのようにスンニ派とシーア派の宗派間の裏切り行為で容易に元通りにならない地域もあるということです。

TIFAseminar 20160619 (3)

たくさんの映像とお話の後、終わりに玉本さんは「遠い国のことで我々と関係ないと思わないで、他の国や地域の人達のことを考え、皆が心を寄せることが争いを防ぐきっかけになると思う。これからもこの地域の出来事を伝えるため身の安全を十分確保した上で取材を続ける。ただの知りたがり屋の行動ではないということを知って欲しい。」と結ばれました。

その後の質疑応答では、危険な所へ行く理由について「伝えなければならないことを伝えるため。20年間の取材を通じて現地に多くの友人がいる。十分な注意を怠らない。自分自身だったらどうするかと考えるためにも知ることが大切。」と、またイラクでの日本に対するイメージについては「日本企業へのイメージは良いがISのテロなどは自分たちのようなジャーナリストより駐在員や旅行者の方がより危険では?」など熱心なやり取りがありました。

なお、ヤズディ教徒の子どもの教育支援カンパには26,200円も集まり、「必ず届けます」ととても喜ばれていました。

閉会後の交流会にも18人もの方が残られ、さらに突っ込んだ話し合いがなされました。

数多く集まったアンケートにも知ることの大切さが書かれており、現地で取材し、そこで暮らす人々の生の声を伝える玉本さんのような活動は正に国際貢献だと思いました。現場でしか得られない情報を私たちに伝えて頂けることに感謝しています。(上田)

 

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