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【報告】TIFAセミナー 「日本人ファースト」について考える
~日本で暮らす外国人の現状をどこまで知っているか~
日時: 2025年 12月21日(日)14時~16時
場所: とよなか国際交流センター セミナー室
お話: 明戸隆浩さん(大阪公立大学経済学部准教授・多文化社会論)
現在日本には370万人の外国人が住んでいて、今や日本は経済的にも外国人なしには成り立たなくなっています。そんな中「日本人ファースト」という言葉がネットを中心に拡がり、選挙でも争点になりました。正しく現状を知り、日本社会が排外主義に向かわないよう、私たちにできることを考えるためにこのセミナーを企画しました。講師の明戸隆浩さんはナショナリズムや外国ルーツの人に対する差別問題を追ってこられた社会学者です。戦後の外国人政策の変遷を振返りながら、現状、そしてこれからの展望や課題をお聞きしました。

▶日本人ファーストとは?
2025年6月に参政党が「日本人ファースト」を参院選のスローガンとして採用したことからはじまった。それを機に、外国人による土地取得や医療保険などの具体的な問題が、事実に基づかないものも含めてネットで一気に広がった。ナショナリズムと排外主義が組み合わさって出てきたものではあるが、主にニューカマーの外国人が対象という点など、在特会などによるヘイトスピーチとは異なった特徴をもつ。
▶影響の拡がり
参政党が支持者を増やし国政政党として勢力を拡大する中で、それが各政党の政策へ、そして政府の政策にも影響を与えはじめた。同時期に自民党から『国民の安心と安全のための外国人政策第一次提言—違法外国人ゼロを目指して』という取り締まり強化方向の提言書が提出された。「日本の国益に資する外国人のみを受け入れる」という方向性がはっきり出てきたのは、「日本人ファースト」が影響したと考えられる。
日本人ファーストという言葉自体は直接ヘイトスピーチとは言い難いが、日本人ファーストを扱ったYouTube動画に「外国人は出ていけ!」といったコメントが多数書き込まれるなど、外国人差別やヘイトスピーチを誘発する効果がある。また、学校でルーツの異なる子どもにこの言葉が向けられる例も出てきた。教育現場での早急な対応が必要。
▶日本の外国人政策の過去と現在
在留外国人数は、2019年に特定技能を導入した後すぐにコロナ禍になったため影響が確認しづらかったが、コロナ禍がある程度終息した2022年以降急激に増加した。ただし諸外国と比べて外国人割合は約3%とまだ低い。
<戦後日本の外国人政策>
第2次世界大戦後は、外国人問題は主に旧植民地出身者(在日コリアン)問題だった。
1980年代: 難民条約批准。外国人も社会保障の対象となった。
1990年代: 外国人研修制度導入。「安くて使いやすい人手が欲しい」産業経済界に押されて体制を段階的に変えてきた。
2018年:特定技能制度を導入し、単純な現場労働も認めると方向転換。安倍政権下の「これは移民政策ではない」という矛盾した姿勢が日本の外国人政策を曖昧なものにしてきた。
2024年6月:人材確保を目的とする育成就労制度へと法律を改定。現在3年間の移行期間中であるが、「日本人ファースト」がその内容に影響を与える可能性もある。
▶「日本人ファースト」以降の外国人政策
ここまで外国人問題に焦点が集まったのは今までなかったこと。
与党の自民党は「秩序と管理」のもと、法令順守を徹底し規制を強める方向。高市政権はそれを引き継ぎ、外国人との「秩序ある共生社会の実現」を強力に押し出す。
新政権に入った日本維新の会は、外国人「総量規制」を掲げ、国家としての一元管理を自民党以上に打ち出している。
インバウンドについては、2003年「ビジットジャパン キャンペーン」以降ゆるやかに増加し、2018年には3000万人を超えていたが、コロナで激減して500万人にまで落ち込んだ後、2024年には再び過去最高を記録した。政府の方針として頑張って増やしてきた成果であるが、与党政治家までそれを害悪であるあのように言う矛盾した状況。
▶現状で一番の問題は?
日本政府の方針でこれまで旅行客や留学生、労働者など外国人受け入れを増やしてきたのに、急に一部の民意に流されて排除する方向に変えつつあること。とくに事実に基づかない不確かなものが政府の政策に反映される、言い換えればネットと政策の距離が短くなったことが大きな問題である。少なくともこれまで政府がやってきたことに責任をもてと言いたい。2026年1月に政府は「総合的対応策」を再度改訂する予定で、状況が急速に動いているので注視している。
<Q&Aより>
▶外国人率が3%の日本でなぜこのような現象が?
外国人の割合が増えていくことへの恐怖がベースとなっている。「日本人ファースト」は在特会などによるヘイトスピーチ以上にグローバルな共通性が強い。トランプの「アメリカファースト」の影響も大きく、たとえばJICAの「ホームタウンプロジェクト」への猛抗議のように、国際協力を左派的だと攻撃するのはトランプ政権下で起きているのと同じ現象。ネットを介した自国ファーストの同時展開が世界で広まっている。
▶在日コリアンの方より
「参政権がない他はほぼ日本人と同じ暮らしができていますが、日本人ファーストの政策が始まれば私たちにも影響あるでしょうか?」
ヘイトの場合は対象がマイノリティ当事者であったが、日本人ファースト以降の攻撃対象は政策、制度や公的機関などに移っている。一見当事者攻撃よりマシに感じられるが、それは間違い。共生政策や国際交流機関、支援団体が攻撃されると外国人のための支えが弱まっていく。アメリカでは政府や企業のダイバーシティ部門が潰されて社会全体として多様性やマイノリティへの保護策がなくされている。直接ではなくとも影響は在日コリアンへも及ぶと思われる。
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参加者には交流活動や日本語指導などで日頃から外国人と接する機会の多い方々も多く、アンケートでは「現状の把握ができてよかった。これからは政治の動きをしっかり見ていきたい」「日本人ファーストはインパクトの強いキャッチフレーズで、子ども達への影響が心配。大人の姿勢がためされている」などの声が寄せられました。外国人と共に住みやすい社会を作る一端を担っている私たちも、日本の政治や社会のこれからの動きを注視しながら、排外主義へ向かわぬよう行動していかなければならないと思いました。
TIFAセミナープログラム
共催:とよなか国際交流協会