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2019年3月17日(日)に、フォトジャーナリスト 宇田有三さんを講師にお迎えして
TIFA セミナー「ミャンマー(ビルマ)から見えてくる日本」を開催しました。
26年間ミャンマーに足を運んで、自ら「世界一くまなく現地を歩き回っている」と言われる宇田さんだからこそ語れるミャンマーの姿についてお話しくださいました。
1時間半ぎっしりのお話から印象的な項目を挙げると…。
(Ⅰ)日本で伝えられないミャンマー(ビルマ)理解のための基礎情報
・北部には雪山もありチベット人が住んでいるが、中国との関係でチベット人とは名乗れない。
・ファミリーネームはなく、「家」のイメージが日本は家父長制であるのと対照的に、ミャンマーでは母の慈愛。そのため、名前の表記に「・」は不要(アウンサウン スーチー)。
・ヤンゴン市内で一般人はバイクには乗らない。バイクに乗っているのは、盗聴できない無線機を持って監視や尾行を行っている公安や軍部の人間。2007年にサフラン革命取材中の日本人ジャーナリストが殺されたが、ミャンマー取材未経験でバイクの尾行に気付いていなかったようだ。今もこのような拙い取材方法がなくなっていないと感じる。
(Ⅱ)
▽軍事独裁政権期から民政移管前後のミャンマー(ビルマ)
・英国の植民地統治→インド人と中国人による分割統治→独立後もインド人と中国人が裕福なままなので反発が強まり、軍事クーデターに繋がった。アウンサンスーチーは独立の英雄アウンサンの娘。
・周辺国との関係:天然ガスが豊富にあり、中国がパイプラインを引いている。
▽軍政下の見える暴力と見えない暴力
▽隠された民族問題と宗教
・宗教は90%近くが上座仏教徒だが、日本の仏教とは基盤となる死生観はじめ全く違う。実は隠れクリスチャンもいるほか、精霊信仰も残っている。
・民族という言葉は、政治学的・文化人類学的民族と法学的民族で違う。例:「先住民」が「先住民族」となると、そこに権利(主に土地)が発生する。多くの少数民族を抱えているため軍事的統制が必要というアピールのために政府は135の民族がいると言っているが、実際は40程度。
(Ⅲ)「ロヒンギャ問題」
・ロヒンギャ難民問題は、ミャンマーが抱える問題や大多数のビルマ民族と宗教が異なるロヒンギャ問題があって生まれたもので、ミヤンマー問題には戦争責任と植民地責任という面で日本にも責任がある。
・「ロヒンギャ問題」の問題化・国際社会の関与:国連が問題を問題化した。実際は、ラカイン州に住むラカイン人(民族)とその土地に住み着いたロヒンギャ(ロヒンの人という意味)の土地の権利闘争の意味もあり、それに加えて軍政下で強められた差別構造の結果でもある。
・軍政期の実態
(Ⅳ)質疑応答
Q1.なぜ今ロヒンギャ問題が脚光を浴びているのか?
A1. わかりやすいからではないか。他の少数民族の問題は複雑で難しい。
Q2スーチー氏は軍部と妥協しているようだが、メリットがあるのか?
A2. 彼女は活動家ではなく、一貫して政治家である。今はトップとして国づくりを優先しているため、軍部が自分の政党の人間を殺害したことも黙っている。
Q3.差別は制度的な物なのか?慣習的な物なのか?
A3.どちらもある。制度としては移動の制限や、そもそもロヒンギャには市民権がないなど。
Q3.昔ミャンマーに行ったが、ガイドが田舎に行かせたがらず、あまり話さなかった。今もそうか?
A3.今はそれほどではないが、色々な立場の人がいるので、相手を知ってから話すべき。私はまず相手に「あなたは何者か?」ときいてみる。以前は「カチン人だ」など民族を答えたが、今は「ミャンマー人だ」という答えが多くなってきた。ムスリムだけはいつでも「ムスリムです」と答える。
インパール作戦における日本兵の話は出ても現地人のことは報道されない、現地の戦争博物館には従軍慰安婦の展示もあることなど、日本に都合の悪い事実にも向き合っている宇田さんのお話はとても勉強になり、アンケートも「聞いたことがない話に驚いた」「ロヒンギャ問題など事実が操作されて報道されていることがわかった」「すばらしい企画でした。理解が深まった」など高評価でした。