まなぶ
ふれあう
ささえあう
国際協力
- アフガニスタン女性支援プログラム
- パタン・ブンガマティ プログラム
- Happy Girls Home 「子どもの家」
- ドダウリ村住民のための支援事業
- ネパール大地震 緊急支援活動 2015年4月~
- ウズベキスタン プログラム
- TIFAネパール自立会
- ネパールでの支援活動
- サナチェタナ小学校 支援プログラム
【報告】TIFAセミナー
日時:2018年2月25日(日) 午後2時~4時
場所:とよなか男女共同参画推進センター「すてっぷ」 視聴覚室
映像とお話:中尾恵子さん(日本ビルマ救援センター代表)
日本ビルマ救援センター(BRCJ)の代表として、長年ビルマ難民の支援活動を続けておられる中尾恵子さんに、難民キャンプの状況を中心に映像を交えてお話ししていただきました。
1)ビルマ概略
・タイ、ラオス、中国、インド、バングラデシュの5カ国に囲まれる。民族は約35あり、68%がビルマ族。90%が仏教徒(上座部仏教)。2016年新政権が発足し、アウンサンスーチー氏が国家顧問に就任するも依然として軍の力が強い。
2)ビルマ難民について
・1988年民主化運動を行ったことで他国に逃れた政治難民。日本にもたくさんの申請者がいるが難民認定はなかなかされない。(2016年度難民申請者総数10,901人のうち認定26人)
・国境を越えて難民となった少数民族の人たちのキャンプは、タイ国境に公式と非公式併せて17カ所、バングラデシュには国連管理下の2難民キャンプがある。中国やインド国境の難民には人身売買の犠牲者が多く出ている。
・国境を越えずにビルマ東部国境で避難生活を強いられる国内避難民が50万人いる。国際的な支援が届かないことが子供達の服装からもよくわかる。
・難民キャンプの支援は国際NGOや民族の自助組織が主に行っているが、2017年トランプ政権になってアメリカの政府系組織の支援撤退で支援活動に大きな影響が出ている。
3)BRCJの活動
・タイ国境の支援としては学校やコミュニティホールを作り、教育や女性の自立支援を行っている。子ども達は教師や医者になりたいと夜はローソクで勉強しており、学校にソーラーランタンを贈った。ビルマ国内の少数民族の避難民へは毛布や蚊帳などを届けた。
・日本国内では在日ビルマ人の祖国の民主化を願う活動を支援している。
4)ビルマ国内と国境の状況
・少数民族の住む地域は天然資源に富むため、政府軍はそれを目当てに強制移住させる。シャン州では軍の襲撃や略奪があり村も焼き討ちされた。
・女性の自助組織について
少数民族の13の女性自助組織が様々に活動を始めている。女性のリーダーたちが女性と子どもの権利や身体について教育する。また、「全ての人々が人権を享受し、自由で民主主義のビルマを!」と地域ネットワーク「オルトシアン」 を立ち上げた。
・児童労働について
ビルマの10歳~17歳の5人に1人が学校へ行かず働いている。中には12時間も働かされている現状がある。教育の必要性、労働法の改善が叫ばれるが、なかなか変化は起きない。
・人道活動家マ・ティダさん(女流作家で外科医)が発表した言論の自由度は60点満点中8点で、民主化はまだ遠い。
5)ロヒンギャ難民について
・現在バングラデシュに62万人のロヒンギャ難民がおり、ビルマ内ではラカイン州に130万人住んでいる。ロヒンギャ族と名乗るが、バングラディッシュ移民と見なされ国籍もない。ビルマに住めば「不法移住者」、バングラデシュに住めば「ビルマ人」と呼ばれ屈辱的な立場に置かれている。
・ロヒンギャ難民キャンプは密集していて、劣悪な環境で、土地はぬかるんで畑もできない状態。
・日本で難民認定を受けたビルマ民主化の活動家ですら、イスラム化を懸念して「ロヒンギャ」を認めない。大変根の深い問題である。
以上が概要です。会場には1年半入管に収監され、やっと難民認定されたマウンマウンさんも来られていました。参加者の関心の高いロヒンギャ問題については、歴史的経緯、仏教とイスラム教との関係など複雑であるが、何年かかってもいつかスーチーさんが解決するだろうと言われました。難民キャンプも公式、非公式があり支援状況も違っているとのこと、必要な所に必要なものを毎年届けている中尾さんやBRCJの活動に頭が下がります。アンケートには「現地の実際の状況がよく分かった」 「私たちに何ができるの?」「BRCJのような確実に支援が届くところに寄付をした方がよいのでは?」などの意見がありました。経済の発展も必要でしょうが、難民を出さない国、誰もが平和に暮らせる国であって欲しいと強く思いました。