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【報告】TIFAセミナー
日時:2017年2月25日(土) 午後2時~4時
場所:とよなか男女共同参画推進センター「すてっぷ」 視聴覚室
映像とお話:藤本伸樹さん(ヒューライツ大阪研究員)
2016年3月12日に実施したパートⅠ「海をわたってくる女性労働者~外国人のお手伝いさんを雇うって?」の続編として、特に介護分野の受け入れについて再び藤本さんにお話を聞きました。
まず、家事支援労働者の受け入れについて、パートⅠの後の状況をお話しされました。
・現在、神奈川県と大阪市が特区として実施しており、受け入れ企業はパソナ、ダスキン、ベアーズ等。パソナは2020年までに1000人の雇用を計画していて、当面の送出国はフィリピンのみ。
・労働者の人権・労働条件をどのように保障するかが課題で、利用者の人権啓発はまだ不足している。一方で親近感を持たせるためか「家政婦」という言葉が使われ始めたり、需要拡大をねらう受入企業が最低賃金を下回る賃金の容認など規制緩和を政府に求めており、労働条件の悪化や人権侵害を招く可能性が指摘されました。
続けて、介護労働者受け入れの新たな流れについての説明がありました。
介護分野での深刻な労働者不足が予想される2020年問題を背景に、政府は以下の政策を進めています。
①技能実習制度に介護分野を追加
・74種類の技能実習制度の中で初めての対人サービス。日本語能力(N4程度)指定も初)
・技能実習生の数はベトナム人が急増しており、中国人(8万人)を追い抜く勢い。政府はベトナムへの介護技術移転が目的と言っているが、ベトナムは家族の介護が基本で介護保険制度もないため、建前としか思えない。
・JICA(ODA)と民間が組んで、中国や東南アジアに日本の介護制度や器具を売り込んでいこうとしている。
②在留資格に「介護」を追加
・日本で教育を受けた留学生が残って介護施設で働けるよう入管法を改定。それを機に、定員割れしていた介護福祉士の養成学校に外国人学生が急増。
・留学生が高い学費をどう工面するのか?債務奴隷になる危険が指摘されました。
ここでの問題点は、政府はこれらの施策について、人材不足対応ではなく「国際貢献」(途上国への技術移転)と言うが、都合良い使い捨てに終わらないか。実際にさまざまな人権侵害で国際機関から改善勧告を受けている。しかも福祉関連企業だけでなく、少子化で儲からなくなった教育業界も高齢者サービスをターゲットにしているおり、企業から政府への規制緩和の働きかけにより、外国人労働者にしわ寄せが行かぬよう注視する必要あり。「来るために借金、来たら低賃金で搾取」の恐れ。ブローカーの搾取を排除するため政府間の取り決めをしっかりすべき。また、フィリピンからシングルマザー(日本人男性の子を持つ)を呼び寄せて日本で働かせるという人材ビジネスも増加。チャリティーをうたった仲介業者も多く、長時間労働やパワハラといったケースも発生していることをお聞きしました。
最後に、今後に向けて私たちが考えるべきこととして、
・需要と供給のバランスにより地球上で人が移動しているので、止めるのはむずかしい。
・搾取的な仲介システムに頼らず、いかに人道的に受け入れていくか。あるいは別の形の受け入れを模索していくか。
・外国人が日本社会に入ることに対して、ネガティブな側面が着目されがちだが、いいことも沢山持ってくるので、働く仲間、地域の仲間として受け入れ、働き手不足を補ってくれる人たちへ「ありがとう」の気持をもちましょう。
講演後も、希望者で藤本さんを囲んで、お茶を飲みながら意見交換を行いました。
私たち一人ひとりが私たちの生活を支えるために来日する外国人を、地域に住む仲間として受け入れ、どうやって政府や行政、企業に彼らの人権を守らせていくかを考えるきっかけになりました。